派遣社員が失業保険をもらう方法は?受給できる条件や手続きの流れを解説

派遣社員が失業保険をもらう方法
派遣のお仕事のギモン

「派遣社員は失業保険がもらえない」と思っている方は多いかもしれません。

結論からお伝えすると、雇用保険に加入している派遣企業であれば、派遣社員は失業保険の対象になります。

ただし、失業保険を受給するためには、条件を満たした上で正式な手続きを行わなければなりません。

この記事では、派遣社員が失業保険をもらう方法を解説しているので、派遣の雇用期間が終わる方、もしくは退職予定の方は、ぜひ参考にしてください。

失業保険とは?

失業保険とは、国から支給される補助金の一つです。正式名称は「求職者給付」と呼ばれる公的保険制度です。一時的に補助金を支給することで、働けなくなった労働者の生活を守り、次の就職先を見つけやすくするために設けられています。

失業保険は雇用保険厚生労働省が管理しているため、ハローワーク(公共職業安定所)での手続きを行うことで給付を受けられます。

ちなみに、失業保険の不正受給を行うと、受給した金額の返還が求められるので、注意が必要です。さらに、受給した額の2倍相当の罰金が科されてしまうので、合計で3倍以上の罰金になります。

そのため、失業保険を申告する際は、就職や就労の事実を正直に伝えることが重要です。

派遣社員で失業保険をもらう条件

派遣社員で失業保険をもらう条件
派遣社員で失業保険をもらう条件は、以下の3つです。

  • 雇用保険に加入している
  • 離職前2年間に1年以上の被保険者期間がある
  • 働く意思があって勤務先が見つからない状態

それぞれ順番に解説していきます。

雇用保険に加入している

雇用保険に加入している必要があります。

派遣社員が雇用保険に加入できる条件は、以下の2つです。

  • 31日以上の雇用見込みがある
  • 1週間の所定労働時間が20時間以上

つまり、雇用保険の加入には、最低でも1ヶ月に80時間以上の勤務時間が必要になります。

ただし、日雇いや季節労働の場合は、条件に違いがあるので、注意が必要です。日雇い労働者は「雇用保険の適用事業所」に雇用されていることが条件です。一方の、季節労働者は「4ヶ月以上の雇用契約」と「1週間の所定労働時間が30時間以上」の条件が求められます。

それぞれ、勤務する派遣元の企業によって条件が異なるので、給料から雇用保険料が天引きされているかの確認を行いましょう。

離職前2年間に1年以上の被保険者期間がある

失業保険をもらうためには、離職前の2年間に雇用保険へ加入していた期間が、1年以上は必要です。

ただし、派遣社員の契約期間満了後に他の仕事を希望していて、契約が更新がされない場合は「特定理由離職者」に該当することで失業保険の受給が可能です。この場合は、被保険者期間が離職日前の1年間に6ヶ月以上の期間があれば失業保険を受給できます。

また、倒産による解雇も特定受給資格に該当するので、失業保険も受給できる可能性があります。

働く意思があって勤務先が見つからない状態

失業保険は次の仕事を見つけるまでの支援金なので、働く意志のない人は受給できません。

ハローワークの手続きにおいて受給できるかどうかの判断がされるので、職員との面談で働く意思があることを示しましょう。

また、失業保険をもらうには、4週間ごとに就職活動の状況を報告しなければならないので、企業に応募したことを書類に記載する必要があります。

失業保険の受給に必要なもの

失業保険の受給に必要なもの
失業保険の受給するために、以下のものをハローワークに持っていきます。

  • 雇用保険被保険者離職票1・2(退職後に会社から受け取れます)
  • 個人番号確認書類(マイナンバーカードなど)
  • 写真付きの身分証明書(運転免許証や住民基本台帳カードなど)
  • 3ヶ月以内に撮影した写真2枚(縦3cm×横2.5cm)
  • 印鑑
  • 本人名義の普通預金通帳

どれも離職者本人を証明するために必要なので、手続きの際は忘れずに持参しましょう。

失業保険を受給するまでの流れ

失業保険を受給するまでの流れは、以下の通りです。

  • ①派遣会社から離職票や雇用保険被保険者証を交付してもらう
  • ②ハローワークで求職申し込み
  • ③受給資格の認定を受ける
  • ④受給説明会へ参加
  • ⑤失業の認定をされると受給が開始する

離職することが決まると、辞める会社から離職票発行給与額や退職理由が記載されてある「離職票」と「雇用保険被保険者証」の交付を依頼します。「離職票」には「離職票1」と「離職票2」の2種類があるので、両方交付してもらいましょう。

続いて、ハローワークで求職申し込みを行います。受給資格の認定を受けます。待期期間としての約7日間待ちます。

続いて、受給説明会に参加しましょう。受給説明会では「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取り、失業が認定されることで失業保険の受給が開始します。

失業保険の受給が開始した後は、4週間ごとにハローワークによる失業の認定をします。失業認定日に雇用保険受給資格者証をハローワークに持って行き、転職活動やアルバイトの状況を申告しましょう。

派遣社員が受給できる失業保険の額はいくら?

派遣社員が受給できる失業保険の額は、以下の条件によって異なります。

  • 退職前6ヶ月間の収入
  • 賃金を1日あたりに換算した額
  • 離職した時点での年齢
  • 給付率

個人の年齢が高くなるにつれて受給できる金額は増えますが、以下のように1日あたりの受給金額は上限が設定されているので、注意が必要です。

  • 30歳未満:6,760円
  • 30歳以上45歳未満:7,510円
  • 45歳以上60歳未満:8,265円
  • 60歳以上65歳未満:7,096円

基本手当日額は、雇用されていた時の賃金日額の約50~80%です。給付率は賃金の低い方ほど高くなります。

給付率は年齢と賃金日額により細分化されているため、年度によって変更されることがあります。詳しくは失業保険を申請する時に、ハローワークの職員に質問しましょう。

会社都合の退職と自己都合の退職の違い

派遣社員の失業保険は会社都合と自己都合に分かれるので、以下にそれぞれ詳しく解説していきます。

会社都合の退職

会社都合の退職は、自分の意志に反して退職したケースです。たとえば、会社の倒産による解雇や、経営状況の悪化による人員整理などが会社都合の退職に該当します。

他には、雇用の契約更新の希望が通らずに、会社の都合で更新の契約を拒否する場合も同様に会社都合の退職とみなされます。最短支給開始日は7日後になり給付日数も自己都合の退職に比べて長くなります。詳しくは後述します。

自己都合の退職

自己都合退職は、転職や引っ越しなど個人的な理由で退職するケースです。他には、結婚・妊娠・出産なども自己都合の退職に含まれます。

ちなみに、懲戒解雇などの場合も自己都合の退職に該当します。そのため、派遣元や派遣先のルールを破って解雇された場合は、会社都合の退職にならない点に注意が必要です。

最短支給開始日は「2ヶ月+7日後」になります。以前は「3ヶ月+7日後」でしたが、令和2年10月1日に法改正され短縮されました。

失業保険の受給開始はいつから?

先ほども述べた通り、失業保険の受給開始は、会社都合の場合、受給資格決定日から待期期間7日間を過ぎてからです。一方の、自己都合の退職の場合は待期期間7日間だけでなく、給付制限期間の2ヶ月が設けられています。

ただし、自己都合の退職の場合でも、心身の病気や障害などによる退職は会社都合と同じ扱いになる可能性が高いです。

他にも、両親の介護や看護などによる退職も会社都合になる場合があるので、ハローワークの判断によって失業保険の受給開始日が早まることがあります。

失業保険の受給終了はいつまで?

失業保険の受給が終了する期間は、原則として離職から1年間です。ただ、1年間は最も受給期間が長いケースなので、該当する日数は以下の表を参考にご確認ください。

被保険者であった期間(右列)

区分(下行)

1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上

20年未満

20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 120日
90日※
180日 210日 240日
35歳以上45未満 150日
90日※
240日 270日
45歳以上60歳未満 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 150日 180日 210日 240日
※受給資格に係る離職日が2017年3月31日以前の場合
引用元: ハローワーク基本手当の所定給付日数

雇用保険に加入した年数に応じて、受給できる期間が長くなります。また、会社都合によって退職した場合は「特定受給資格者」に該当するので、退職後の準備の期間を設けるためにも受給期間が長めに設定されています。

自己都合の場合は以下になります。会社都合に比べて、期間が短くなっています。

被保険者であった期間(右列)

区分(下行)

1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上20年未満 20年以上
全年齢 90日 120日 150日
引用元: ハローワーク基本手当の所定給付日数

ちなみに、障害などによる就職困難者は、以下の表の通り受給期間が長く設定されています。退職の条件によって失業保険の受給期間が異なるので、ご自身の状況によって受給終了までの期間が決まります。

被保険者であった期間(右列)

区分(下行)

1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上20年未満 20年以上
45歳未満 150日 300日
45歳以上65歳未満 360日
引用元: ハローワーク基本手当の所定給付日数

新型コロナウイルスで失業した場合の特例

新型コロナウイルスで失業した場合の特例は、以下の通りです。

  • 失業保険の受給期間が60日間延長される
  • 受給が可能な期間が最大で3年延長される
  • 自己都合退職の人でも給付制限期間がなくなる

それぞれ詳しくみていきましょう。

失業保険の受給期間が60日間延長される

新型コロナウイルスの影響により、職を探す期間が長くなったことで、受給期間が60日間延長されます。つまり、2ヶ月分の受給金額の上乗せと同じことです。

令和2年5月26日以降に、新型コロナウイルスの影響によって離職した場合は、失業保険の給付期間が延長されます。ただし、障害などによる就職困難者は、もともとの期間が長いため、受給期間の延長の対象にはなりません。

ちなみに、特定理由離職者・特定受給資格者は「35歳以上45歳未満で給付日数270日の人」もしくは「45歳以上60歳未満で給付日数330日の人」の場合、延長期間は30日となります。

受給が可能な期間が最大で3年延長される

新型コロナウイルス感染の影響によって30日間以上働けない場合は、受給期間が最大で3年間延長されます。

たとえば、本人が新型コロナウイルスに感染や、ご家族や職場でコロナウイルスの感染がある場合などが、受給期間の延長の対象です。他にも、小学校や義務教育学校の子供の養育が必要になる場合も、期間が延長されます。

ただし、受給可能な期間が延長されるだけで、受給される金額は増えるわけではありません。

自己都合退職の人でも給付制限期間がなくなる

新型コロナウイルスによる退職は、自己都合退職の場合でも給付制限を受けることがありません。つまり、給付制限の2ヶ月間を待たずに受給が開始されるのです。

たとえば、同居する家族がウイルス感染することや、妊娠中の女性や高齢の場合の退職理由などは会社都合の退職としてみなされます。

2ヶ月の給付制限期間がある場合は、収入がなくなって生活が困難になる可能性があるので、退職者にとってメリットの大きい制度です。

派遣社員は再就職手当を受給できる?

派遣社員は再就職手当を受給できる?
派遣社員は再就職手当を受給できます。以下に条件や手順について詳しく解説していきます。

再就職手当とは?

再就職手当とは、失業保険を受給している途中に就職が決まった場合に、残りの受給額を一定の割合でもらえる制度です。

たとえば、基本手当の支給日数が3分に2以上が残っている時に就職すると、基本手当の支給残日数の60%の額が支給されます。

また、基本手当の支給日数が3分に1以上残っている場合は、本手当の支給残日数の50%が再就職手当として受給できます。

派遣社員が再就職手当を受給する条件

派遣社員が再就職手当を受給する条件は、以下の通りです。

①受給手続き後、7日間の待期期間(※)満了後に就職、又は事業を開始したこと。
② 就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。
③ 離職した前の事業所に再び就職したものでないこと。また、離職した前の事業所と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業所に就職したこと。
④ 受給資格に係る離職理由により給付制限(基本手当が支給されない期間)がある方は、求職申込みをしてから、待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。
⑤ 1年を超えて勤務することが確実であること。(生命保険会社の外務員や損害保険会社の代理店研修生のように、1年以下の雇用期間を定め雇用契約の更新にあたって一定の目標達成が条件付けられている場合、又は派遣就業で雇用期間が定められ、雇用契約の更新が見込まれない場合にはこの要件に該当しません。)
⑥ 原則として、雇用保険の被保険者になっていること。
⑦ 過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。(事業開始に係る再就職手当も含みます。)
⑧ 受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。
⑨ 再就職手当の支給決定の日までに離職していないこと

引用元:再就職手当のご案内

早く就職すれば新しい就職先からの給料が振り込まれるので、再就職手当は離職中の派遣社員にとってお得な制度です。会社都合の退職と自己都合の退職どちらの場合でも、新しい雇用先が見つかった時は、再就職手当をもらって仕事を始めることをおすすめします。

派遣社員が再就職手当を受給する流れ

派遣社員が再就職手当を受給する流れは、以下の通りです。

  1. 再就職が決まった旨をハローワークへ報告する
  2. 「再就職手当支給申請書」を受け取る
  3. 新しい就職先の会社から就職の「証明書」をもらう
  4. 書類に必要事項を記入する
  5. 再就職後の1ヶ月以内に書類を提出する
  6. ハローワークによる書類の審査が行われ、問題がない場合は再就職手当が支給される

再就職手当をもらう際は、ハローワークに就職したことを証明しなければならないので、新しい就職先の会社との手続きが必要です。ハローワークの審査が通った後は、約1ヶ月後に再就職手当が振り込まれます。

失業保険をうまく活用しましょう

失業保険をうまく活用しましょう
派遣社員でも条件を満たせば、失業保険をもらえるので、活用しましょう。さらに、再就職手当もあるので、すぐに就職先が見つかった場合でも、新しい就職先で働く前に数十万円の手当をもらえる可能性が高いです。
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