派遣社員のみなし残業を解説!計算方法やメリット・注意点も紹介

派遣社員のみなし残業を解説!計算方法やメリット・注意点も紹介
派遣のお仕事のギモン

「みなし残業で働く際の注意点が知りたい」

「そもそもみなし残業ってどんな制度なんだろう?」

このような疑問やお悩みはありませんか?

みなし残業は、上手に活用すると事業者側にも労働者側にもメリットがある制度です。

しかし、中には残業代の未払いでトラブルが発生するケースもあります。そのため、みなし残業の制度を正しく理解した上で派遣の仕事をしましょう。

本記事では、みなし残業制度の詳しい解説やメリット、デメリットなどを紹介します。

記事の後半では「みなし残業で働く際の注意点」もお伝えしますので、ぜひ最後までご一読ください。

みなし残業とは?

みなし残業とは?

みなし残業とは、給与の中にあらかじめ一定時間分の残業代が含まれている制度のことです。

みなし残業では、実際に労働した時間ではなく「みなし時間」によって労働時間が計算されます。

なお、あらかじめ規定した労働時間を超える残業が発生した場合、派遣会社は別途残業代を支払わなければなりません。もし正当な残業代が支払われなかった場合、その派遣会社は事業免許停止になってしまう可能性もあります。

みなし残業と普通の残業の違いは?

みなし残業と普通の残業の違いは?

みなし残業と普通の残業の違いは、以下の通りです。

みなし残業と普通の残業の違い
みなし残業 普通の残業
残業代の計算 あらかじめ含まれている その都度発生
残業代の金額 固定 変動

みなし残業では、あらかじめ給与の中に残業分の割増賃金を含めているため、毎月の人件費の変動を抑えられます。

一方で普通の残業の場合、残業が発生したら残業代を計算しなければなりません。普通の残業では毎月の残業代が固定されていないので、残業手当の金額はその月によって異なります。

みなし残業が多い職種

みなし残業が多い職種

みなし残業が多いのは、業務の進捗が労働者の裁量に委ねられ、労働時間の正確な把握が難しい職種です。

具体的には、次の3種類に分けられます。

  • 事業場外労働
  • 専門業務型裁量労働制
  • 企画業務型裁量労働制

それぞれ解説していきます。

事業場外労働

1つ目の「事業場外労働」に該当するのは、外回りに出る営業職やテレワークの多い職種などです。

これらの職種では、業務の一部もしくは全部を事業場外で行っているため、会社が従業員の労働時間を把握しにくい側面があります。

専門業務型裁量労働制

2つ目の「専門業務型裁量労働制」を採用しているのは、業務の進捗や業務遂行の手段などを従業員の裁量に委ねている職種です。

専門業務型裁量労働制は対象となる19業務が法令で定められており、たとえばシステムコンサルタントや弁護士、デザイナーなどが該当します。

企画業務型裁量労働制

3つ目の「企画業務型裁量労働制」に該当するのは、企画・立案・調査分析業務を遂行する際に、その遂行方法が従業員の裁量に委ねられている業務です。

具体的には、経営企画や広報、人事・労務管理などが該当します。

そもそも派遣社員は残業していいの?

そもそも派遣社員は残業していいの?

派遣社員も残業はできますが、もし残業する場合には「労使協定の締結」「就業規則での規定」「雇用契約書での明記」が必要です。

労使協定は労働基準法36条で規定されており、通称36協定と呼ばれるものです。36協定の締結当事者は、会社側は社長でも各事業場の責任者でも構いません。

従業員側の当事者は、従業員の過半数で組織される労働組合、もしくは従業員の過半数を代表する者です。

また、派遣会社は就業規則や雇用契約書に残業のことを明記しておく必要があります。これは、みなし残業を導入する際に、該当する全ての従業員の同意が必要だからです。

残業の法律上のルール

残業の法律上のルール

残業の法律上のルールを確認しておきましょう。

  • 1カ月で45時間が上限
  • 法定労働時間と所定労働時間の違い

それぞれ解説していきます。

1カ月で45時間が上限

残業の上限は「1カ月45時間、1年360時間」です。これは、労働基準法36条で定められています。

特別な事情がない限り、この上限を超えて残業することは許されていません。もし上限を超えて残業させた場合には、6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金を科せられる恐れがあります。

法定労働時間と所定労働時間の違い

法定労働時間とは、労働基準法第32条で規定された労働時間のことです。原則として、労働時間は1日に8時間、1週間に40時間までと上限が設けられています。

一方の所定労働時間は、会社が定めた労働時間のことです。なお、会社は法定労働時間以内に所定労働時間を定めなくてはなりません。

参考:厚生労働省「時間外労働の上限規制」

残業代の計算方法

残業代の計算方法

ここでは、残業代の計算方法を紹介します。

法定労働時間を超過して働いた場合、25%以上の割増率を乗じる形で残業代が計算されます。

計算式は以下の通りです。

残業代=1時間当たりの賃金✖️残業時間✖️1.25

たとえば、時給1,000円のAさんが4月に10時間の時間外労働をした場合、4月の残業代は12,500円です。

Aさんの残業代(4月分)=1,000円✖️10時間✖️1.25=12,500円

休日労働(35%以上)や深夜労働(25%以上)についても、同様に割増率を乗じた形で割増賃金が支払われます。

ただし、ここでの休日労働は「法定休日での労働」のことです。

法定休日は労働基準法35条で規定されており、使用者は毎週必ず1回の休日を与えることになっています。

もし週休2日制の土日休みで法定休日を土曜日に定める企業の場合、たとえ日曜日に労働しても休日労働の割増賃金は対象外です。土曜日は「所定休日」という法定休日以外の休日なので、「法定休日での労働」という休日労働の条件に該当しないためです。

みなし残業のメリット

みなし残業のメリット

派遣社員におけるみなし残業のメリットは、残業しなくても残業代を受け取れることです。

逆に、あらかじめ規定された労働時間を超えて残業した場合、別途残業代を受け取ることもできます。

みなし残業制度の活用は、業務の進捗が労働者の裁量に委ねられる業種に多いです。そのため、スケジュール調整がしやすいことも派遣社員のメリットと言えるでしょう。

派遣会社にとっては、社員の労働管理がシンプルになるというメリットがあります。

普通の残業の場合、一人ひとりの残業代を計算するのが手間になってしまいますが、みなし残業ではその必要がありません。なぜなら、みなし残業では一定時間まで残業代の計算をしなくて済むからです。

このように、派遣会社・派遣社員ともにメリットがあるみなし残業ですが、派遣社員にとってはデメリットも存在します。

続いて、みなし残業のデメリットを確認しましょう。

みなし残業のデメリット

みなし残業のデメリット

みなし残業のデメリットは、残業代未払いの温床になる可能性があることです。

本来、派遣会社は規定された労働時間を超える残業分に対して、別途残業代を支払う必要があります。

しかし、そもそもみなし残業は会社が労働時間を把握しにくい業種に多い制度です。

そのような業種では、残業が多い月にプラスの残業代が支払われないケースも存在するため注意しましょう。

なお、「残業代の未払いに気づいた場合の請求方法」については、後ほど詳しく解説します。

みなし残業で働く際の注意点4つ

みなし残業で働く際の注意点4つ

みなし残業で働く際は、以下4つの注意点に気をつけてください。

  • サービス残業になっていないか?
  • 最低賃金を下回っていないか?
  • 派遣会社は派遣社員に対して理解がある企業か?
  • 就業規則や雇用契約書を確認しておく

1つずつ解説していきます。

サービス残業になっていないか?

1つ目の注意点は、サービス残業についてです。

派遣先の企業によっては、「派遣料の割増を支払いたくない」という理由からサービス残業を求めてくることがあります。

派遣社員も、契約を打ち切られることが不安で断りにくいケースがあるかもしれません。

しかし、そもそも正当な残業代を支払わない派遣会社は事業免許停止になります。派遣先でサービス残業を求められた時は、遠慮せずに派遣会社へ相談しましょう。

最低賃金を下回っていないか?

2つ目の注意点は、最低賃金についてです。

みなし残業は、あらかじめ給与の中に一定時間分の残業代が含まれている給与体系です。この時、給与からみなし残業代を差し引いた金額が最低賃金を下回っていれば違法になります。

契約内容を確認し、どのような給与体系になっているか見ておきましょう。

派遣会社は派遣社員に対して理解がある企業か?

3つ目の注意点は、派遣会社の理解力についてです。

派遣社員は、派遣元企業との間で雇用契約を結びます。たとえば派遣先企業で残業をしたとしても、残業代を支払うのは派遣会社になります。

残業代が未払いの場合、派遣会社に相談する必要がありますので、派遣社員の相談にも親身に乗ってくれる企業を選ぶのがおすすめです。

就業規則や雇用契約書を確認しておく

4つ目の注意点は、就業規則や雇用契約書についてです。

派遣社員に残業してもらうには、就業規則で残業に関する内容を規定しておく必要があります。就業規則は、従業員がすぐ確認できる状態になっていることが大切です。

また、雇用契約書にも残業の金額や時間などを記載しておかなければなりません。

その他、派遣会社は36協定を締結しておく必要があり、派遣社員も残業を受ける前にはこれらの条件を確認しておきましょう。

派遣社員のみなし残業でよくある質問4つ

派遣社員のみなし残業でよくある質問4つ

ここからは、派遣社員のみなし残業に関する4つの質問に回答します。

  • 残業代の未払いに気づいた場合の請求方法は?
  • 残業したいけど派遣先で残業がない場合はどうすればいい?
  • みなし残業を拒否したい場合はどうしたらいい?
  • みなし残業に関するトラブルの対処方法は?

それぞれ見ていきましょう。

残業代の未払いに気づいた場合の請求方法は?

残業代の未払いに気づいた場合、残業を証明するための根拠を集めて派遣会社に請求します。

残業を証明する根拠としては、タイムカードやメールの記録、業務日報などを活用するといいでしょう。

また、派遣先企業には派遣先管理台帳の記録が義務付けられています。

派遣先管理台帳は派遣社員の就業時間が記録されていますので、開示を求めるのも方法の1つです。

残業したいけど派遣先で残業がない場合はどうすればいい?

残業がない派遣先で残業したい場合は、派遣先の責任者から許可を取る必要があります。

ただし、そもそも「残業にかかる経費を抑えたい」と考える企業も存在するため、派遣先の意向を確認することが重要です。

たとえ業務が時間内に終わらなかったとしても、個人の判断で残業するのではなく、派遣先の指示を仰ぐようにしましょう。

みなし残業を拒否したい場合はどうしたらいい?

みなし残業を拒否したい場合、36協定と就業規則、雇用契約書を確認しましょう。

派遣元企業で36協定が結ばれていない、就業規則や雇用契約書に残業のことが規定されていないなどの場合、残業を拒否できます。

もし36協定や就業規則、雇用契約書が揃っていたとしても、36協定で定めてある時間外労働を超えた残業は断ることが可能です。

みなし残業に関するトラブルの対処方法は?

残業代のトラブルが発生した際、まずは派遣会社に相談しましょう。

もし直接話すのが嫌だったり聞く耳を持ってくれなかったりした時は、内容証明郵便で請求書を送るのも方法の1つです。

また、残業代の未払いについては労働基準監督署も無料で相談に応じてくれます。その際、残業を証明するための根拠を用意しておきましょう。

残業代の未払いが発覚すれば、労働基準監督署から会社に対して指導・是正勧告などが入ります。

なお、会社が残業代を支払わない場合の最終手段が労働審判です。法的手続きを取りたい場合、弁護士に相談してから労働審判を起こすようにしましょう。

まとめ:みなし残業を理解して働こう

まとめ:みなし残業を理解して働こう

企業がみなし残業を活用すれば、社員の労働管理がシンプルになります。毎月の残業代の変動を抑えることもできるため、今後もみなし残業は多くの企業で活用されていくでしょう。

しかし、派遣社員にとっては残業代未払いの温床になる可能性もあります。

残業代でのトラブルを防ぐためにも、派遣会社を選ぶ際は社員に対して理解のある企業を選びましょう。

なお、優良な派遣会社を見分ける方法の1つに「優良派遣事業者認定制度」があります。

この制度は、派遣社員に寄り添った労働環境やキャリア形成の支援など、安心できる派遣会社にのみ与えられる制度です。「優良派遣事業者認定制度」に認定されている企業を選ぶとトラブルを避けやすいです。

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